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都市と農村の関係 問い直す
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「スローフード」という言葉をよく耳にするようになった。元は北イタリアから起きた食文化運動で、日本でもかなり広まって いる。 島村菜津さんの「スローフードな人生!」(新潮社)によると、「消えゆく伝統的食材や食文化を守り、その生産者を保護し 、 子供達に味の教育をすすすめること」だそうだ。毎日追い立てられるように食事を取る身には、どこか屈託のない語感が心地よく響く。 偶然、知人から「スローフードの体験を」との誘いを受け、新潟県松代町に出かけた。都会生活者と地方の文化の橋渡しを目 指す特定非営利活動法人(NPO)「夢中塾」(秋山騎久夫理事長・東京)による初の事業だった。 参加者は棚田やブナ林に古 里の原風景を探し、新米の餅つきやまんじゅう作りに食の確かな感触をつかんでいたようだ。 夜は地元の農家の自慢料理を地酒 と共に楽しむ趣向で、山菜の煮付け、和え物、揚げ物、漬け物と豊富な味が30皿も並んだ。 都内のレストランシェフ、エリオ ・オルサーラさんも加わり、コシヒカリを素材にリゾットに腕を振るった。土地の名産をその場で味わう「地産池消」は得がたい体験である。 スローフードの食材はパスタやコメ、野菜などの炭水化物が多く、ハンバーガーなどの肉・脂肪系の多いファ ーストフードと対比され、日本では栄養学的に評価されている。 「スローフードに帰ろう」のテレビCMを二年前に流し、日本でのブームのきっかけを作った食品会社カゴメ広報課によると、 「脂肪の多いファーストフードは早くエネルギーに変わるため、生活習慣病の原因を作ってきた。炭水化物系のスローフードは ゆっくりと体に吸収されるので健康によい」そうだ。 しかしスローフードの文化は栄養面 の意味合いより、食べのもを通じて 消費者と農業との関係をじっくり問い直すことにある。そんな重い問いかけをくれたのは地元の区長、松村竹一さん(65)だ った。 「過疎とは人の減少だけではない。家ごとに自慢しあった豆腐作りや煮しめの数々が消え、集落の甚句や文化が消えるのを座し て待つほかない悔しさだ」「こうして都会のお客様があれば、どこを案内し、どんな歌を聞かせようかと意欲がわいてくる。集 落の再興にも目的が持てるのだが・・・」大消費地の都会人がこんな農村事情をどれだけ知っていただろうか。 工業製品と同様に食品も効率とスピードと低価格のわなにはまり、伝統的な食文化や特徴のある農業をそぎ落としてきた。 さらに世界的な流通システムの発達も加わり、狂牛病や病原性大腸菌O-157などが地球規模でまん延するようになってしまった。 その混乱の中で消費者や生産者、業界自身が受けた大打撃を顧みれば、効率の追求に走ったことが実は危険なほど非効率的 だったことにそれぞれがやっと気づき始めている。 二十世紀は都市が農村に多くの犠牲を強いてきた時代でもある。英国の都市計画家エベネザー・ハワードが「明日の田園都市 」(1902)を発表して百年になる。その中で提唱した「都市と田園の結婚」は、世界中の都市計画家の夢ではあったがいま だに実現をみていない。 棚田も森林もすさみ、農村の疲弊ぶりが言われて久しい。都市住民は相変わらずいやしや安らぎを求めて田園に向かうが、都 市が農村にできることにはなにがあるのだろう。 スローフード運動は、そんな都市と農村の新しい関係、相思相愛の必要性を教えてくれるものでもある。 |
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島村菜津さんの「スローフードな人生!」(新潮社)は勉強になりました
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